【6月12日 AFP】米ニューヨーク(New York)市のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長は11日、気候変動に対する市の防災対策強化のため195億ドル(約1兆9000億円)を投じると発表した。

 米東海岸は7か月前の2012年10月、巨大ハリケーン「サンディ(Sandy)」で大きな被害を受けており、同市も洪水で都市機能が数日にわたってまひした。このような被害を防ぐため、ブルームバーグ市長が発表した防災強化策の概要には、沿岸に高さ6メートルの壁や堤防を建設する計画も含まれている。

 サンディはニューヨーク市内だけで43人、米国全体では120人の命を奪った。マンハッタン(Manhattan)では電力網の半分以上が数日にわたって寸断され、交通機関は止まり、沿岸部の損害額は数百万ドル(数億円)に上った。

 ブルームバーグ市長は防災強化策と同時に、気候変動がニューヨークにもたらすリスクに関する400ページ以上の研究報告書も公表。2050年には、サンディのような災害によってさらに深刻な被害が出る恐れがあると警告した。同市長によると、市内の4分の1の地域が洪水被害を受けやすくなると予測されるという。

 一方でブルームバーグ市長は、海岸地区での防災施設建設は景観の妨げになるなどの理由で反対の声も上がるだろうと述べたが、同市の全長835キロメートルにわたる海岸線の安全性強化に向けた決意は揺るがないと強調した。洪水リスクにさらされている地域にはすでに約40万人が暮らし、27万人が働いている。(c)AFP/Brigitte Dusseau