【6月12日 AFP】フィリピン政府は11日、違法取引される象牙、いわゆる「ブラッド・アイボリー」に対する認識の向上を目的として世界的に実施されているキャンペーンの一環として、同国が押収・保管していた象牙5トンを粉砕する計画を明らかにした。

 フィリピン保護地域野生生物局(Protected Areas and Wildlife Bureau)のテレサ・ムンディタ・リム(Theresa Mundita Lim)局長によると、粉砕される象牙は2005~09年の間に押収された象牙およそ13.1トンの一部。いずれもタンザニアで密猟されたゾウの象牙とみられるものだ。

 リム局長はAFPに対し、この計画は「フィリピンは象牙の違法取引とゾウに対する無慈悲な虐殺に反対だとのメッセージを送るのが目的」だと語った。来週、象牙の違法取引に反対する活動家らも出席する中で、ロードローラーで破砕した上、焼却するという。押収した残りの象牙は保管し、違法取引を行う業者に対する証拠品のほか、教材として使用する予定だ。

 フィリピンは象牙の違法取引における輸送の中心地とされており、政府はそうしたイメージを払拭(ふっしょく)しようと努めている。

 フィリピンはスイス・ジュネーブ(Geneva)に事務局を置くワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered SpeciesCITES)の締約国でもある。CITESはアフリカにおける急激な野生ゾウの生息数減少に歯止めをかけることを目指して、象牙の取引を禁止している。(c)AFP