【6月10日 AFP】欧州中部に壊滅的な被害をもたらしている洪水でドナウ(Danube)川の水位が10日、過去最高記録を更新した。その後、川の水位は低下し始め、洪水対策に取り組んだハンガリーでは最悪の事態を回避した。

 ハンガリーの首都、ブダペスト(Budapest)のタルロス・イシュトバン(Tarlos Istvan)市長は10日午前、同国のオルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相と合同で記者会見を開き、「壊滅的な状況の報告はない。事態は平常化しつつある」と述べた。

 欧州地域における過去10年間で最悪の被害をもたらした洪水だが、ハンガリーでは、ブダペストのみならず国内全域で死者、重傷者が出るのを回避することが出来た。

「ブダペストは、12日までに危険を脱するはずだ。洪水による死者、負傷者を出さないで済むことを見込んでいる」と、オルバン首相は語った。

 ブダペストのドナウ川の水位は9日夜、8.91メートルまで上昇し、過去最高記録を更新した。これまでの記録は2006年の8.6メートルだった。タルロス市長によると、ドナウ川の水位は10日未明から低下を始め、現地時間午前8時には8.88メートルまで低下した。

 自動車メーカーのスズキ(Suzuki)は、ブダペストの北65キロメートルのエステルゴム(Esztergom)にある自動車工場に従業員の多くが出勤できないため、10日は操業を停止すると述べた。11日に操業を再開するかどうかはまだ決まっていないという。(c)AFP