【6月10日 AFP】(写真追加)チリのアルマ(ALMA)電波望遠鏡を使い、若い恒星の周囲に微粒子が集まる「ダストトラップ」を発見したとの論文が、7日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。発見は、微粒子がどのようにして彗星(すいせい)や惑星に成長していくかを説明する助けになる可能性があるという。

 研究チームを率いたオランダ・ライデン大学(Leiden University)・博士課程のニンケ・ファン・デル・マレル(Nienke van der Marel)氏は、「われわれが見ているのは『彗星の工場』のようなものだろう」と話す。

 研究チームが「ダストトラップ」を発見をしたのは、アルマ望遠鏡で「Oph-IRS 48」と呼ばれる恒星系内の円盤を調査しているときだった。アルマに共同出資している欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)によると、研究チームはこの恒星がリング状のガスに囲まれていることを発見したが、さらに驚くべきことに、ミリ単位の大きさの微粒子が集まる「カシューナッツ状」の領域を発見したという。

 このカシューナッツ状の「ダストトラップ」では、サイズが比較的大きな微粒子が捕捉され、衝突や合体などによって、さらに大きく成長する可能性があるという。

 ファン・デル・マレル氏は、「彗星の工場」内の条件は、微粒子がミリサイズから彗星サイズにまで成長するために適した条件になっているが、惑星サイズにまで成長する条件にはなっていないとした一方で、「だが近い将来、親星のさらに近くに存在する、同じ仕組みが作用しているダストトラップを、アルマで観測できる日が来るだろう」と述べ、このようなダストトラップが生まれたばかりの「惑星のゆりかご」になっている可能性を指摘した。(c)AFP