【6月10日 AFP】ロシアの名門ボリショイ・バレエ団(Bolshoi Ballet)は8日、同バレエ団のトップダンサーであるニコライ・ツィスカリーゼ(Nikolai Tsiskaridze)氏(39)との契約を延長しないと発表した。

 ボリショイ広報は8日夜、露テレビ「ロシア24(Rossiya 24)」に、6月30日で切れるツィスカリーゼ氏との契約は延長しないと語った。ツィスカリーゼ氏にも前日に通知してあるという。
 
「白鳥の湖(Swan Lake)」の悪魔ロットバルト役などで知られるツィスカリーゼ氏は、ボリショイのトップソロダンサーの1人だが、同バレエ団のセルゲイ・フィーリン(Sergei Filin)芸術監督が酸性の液体を顔にかけられた事件をめぐって経営陣批判を展開しバレエ団側と対立していた。契約終了により、ボリショイでのツィスカリーゼ氏の21年のキャリアは終わりを迎える。

 一方、ツィスカリーゼ氏は9日、露テレビNTVに「実に不可解だ。私は職員として雇用されたダンサーだ。バレエ団側が言うような契約書にサインしたことはない。分からないことだらけだ」と語っている。

 ツィスカリーゼ氏はフィーリン氏が酸をかけられ重傷を負った1月の事件後、複数のインタビューで全経営陣が辞任すべきで自身がトップを務めるなどと話していた。その一方で、フィーリン氏が本当に酸をかけられたのか疑問を呈してもいる。

 事件では同バレエ団のソリスト、パーベル・ドミトリチェンコ(Pavel Dmitrichenko)容疑者が首謀者として逮捕されている。(c)AFP