【6月5日 AFP】大規模な反政府デモが続くトルコでは4日、死者も出た事態の収拾を訴えた政府の呼びかけに反抗するかのようにデモ隊が再び街にあふれた。レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相は、10年を超える在任期間中で最大の難局に直面している。

 ビュレント・アルンチ(Bulent Arinc)副首相は同日、先週イスタンブール(Istanbul)の公園の再開発計画に反対して開かれた平穏な抗議集会を警察が催涙ガスを用いて解散させようとして発生した衝突で負傷したデモの参加者に対し、「環境に配慮して抗議の意を表したにもかかわらず暴力行為の被害を受けた人々におわびを申し上げる」と陳謝した。ただし、政府が「暴徒」と非難する者に対して謝ったのではないと断った。

 さらに同副首相は、「政府は今回の出来事から教訓を得た。政府に国民を無視する権利はなく、また政府は国民を無視できる立場にない。民主主義は反対勢力なくして成立し得ない」とも付け加えた。

 米国はこの政府による陳謝を称賛したが、国民の怒りは収まらなかったようだ。イスタンブールのタクシム広場(Taksim Square)には叫び声を上げ笛を吹き鳴らすデモ隊が5夜連続で集結し、先にデモ隊を「過激派」や「野蛮人」とこき下ろしたエルドアン首相を非難した。

 デモ参加者は、イスラム教徒が大半を占めているが憲法上は世俗主義を掲げるトルコに保守的なイスラム改革を押し付けようとしているとしてエルドアン首相を批判している。

 当局と医療関係者によると、これまでの一連の衝突で2人が死亡している。負傷者数については、人権団体は数千人としている一方、政府は約300人と発表している。(c)AFP/Roland LLOYD PARRY