【6月5日 AFP】欧州中部を襲った大規模な洪水がドイツ東部にも拡大する中、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は4日、被災地に1億ユーロ(約130億円)の緊急支援を実施すると発表した。この洪水でこれまでに少なくとも11人が死亡し、数万人が避難している。

 メルケル首相は洪水地域の上空をヘリコプターで移動し、3か所の被災地を視察した。最初の視察先、ドイツ南東部バイエルン(Bavaria)州パッサウ(Passau)では3日夜、市内で2つの河川と合流するドナウ(Danube)川の水位が1501年以降で最も高い12.9メートルを記録した。

 首相は緊急支援金の迅速な分配を約束。パッサウ市長によると、同市の被害額は推定で2000万ユーロ(約26億円)に上る。

 チェコ北部のポーランドとの国境近くで増水した川の中から男性の遺体が収容され、地域全体での洪水による死者は11人となった。チェコではこの男性の他、飼い犬の散歩中に倒木の直撃を受けた女性など7人が死亡している。その他の死者はオーストリアで2人、スイスで1人。さらに数人が行方不明になっている。

 ドイツ南部に端を発するドナウ川の中流域に位置するハンガリーでは、ドナウ川の水位はハンガリー西部で5日に、首都ブダペスト(Budapest)では週末までに最も高くなると予想されている。(c)AFP/Ralf ISERMANN