【6月4日 AFP】米ニューヨーク(New York)の国連本部で3日、武器の国際取引に関するルールを定めた初の国際条約「武器貿易条約(Arms Trade TreatyATT)」の署名式が行われ、日本を含む60以上の国が署名した。米国は初日の署名を見送った。ロシアや中国が署名する見込みは薄いとみられている。

 条約の対象範囲は戦車,装甲戦闘車両,大口径火砲システム,戦闘用航空機,攻撃ヘリコプター,軍用艦艇,ミサイル及びミサイル発射装置,小型武器。締約国は、取引する武器が国際的禁輸措置の対象となっていないか、国際人道法・国際人権法に違反していないか、テロや犯罪組織に用いられる恐れがないかを前もって評価する義務を負う。

 同日、アルゼンチンを皮切りに63か国が署名。主要武器輸出国の英国、フランス、ドイツも署名した。

 同条約の発効には50か国の批准が必要で、フィンランドのエルッキ・トゥオミオヤ(Erkki Tuomioja)外相は1年以内には発効にこぎつけたいと語ったが、ロシアと中国が近く署名する見通しはない。

 また世界最大の武器・兵器輸出国の米国も、条約案の採択では中心的な役割を果たしながら署名はしていない。

 米国の未署名についてジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は声明文を発表し、「条約文の公式翻訳作業が終了次第、署名する」と説明した。また米国では、条約が定める規制の多くが、すでに敷かれているとした上で、条約を「不法な通常兵器取引の防止に寄与する重要な努力だ」と強調した。(c)AFP/Tim Witcher