【6月3日 AFP】エジプトの最高憲法裁判所は2日、イスラム勢力が多数を占める諮問評議会と憲法制定委員会は無効との判断を下した。この裁判所の判断により、エジプトは再び政情不安に陥ることが予想される。

 最高憲法裁判所は、上院にあたる諮問評議会選挙に関する法律と、新憲法の草案を作成した憲法制定委員会のメンバー選出に関する規定に問題があったとして、違憲であるとの判断を下した。

 最高裁は、次の議会選挙が行われるまでの間、諮問評議会が解散する必要はないとしたが、実際に立法権を伴うものとなるのかは明らかになっていない。同国では昨年、下院も解散を命じられているため、上院に立法権が認められないとなると、立法機関の所在が不明となる。

 なお、昨年末に施行された新憲法については、国民投票で承認されたとして有効と判断された。

 現時点においては、最高裁の判断がどの程度の影響を与えるのかは定かではないが、ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領が革命後の民主主義の象徴と喧伝していた、諮問評議会と憲法制定委員会の「正当性」に暗い影を落とすことは確かだ。

 新憲法の制定をめぐっては、モルシ大統領の支持母体であるイスラム勢力と、世俗派など反モルシ派との間で激しい対立が起きた。世俗派らは、新憲法がイスラム寄りであり、全国民の声が反映されていないとして反発。大規模デモや暴動にまで発展した。(c)AFP/Jailan Zayan