【5月31日 AFP】パキスタンのイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」は30日、米国の無人機攻撃で同勢力のナンバー2が殺害されたことを認めた上で、パキスタン政府に対する和平交渉の提案を撤回した。

 米政府が500万ドル(約5億円)の懸賞金を懸け行方を追っていたワリウル・ラフマン(Waliur Rehman)幹部は29日朝、アフガニスタンとの国境沿いにあるタリバンと国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力の主要活動拠点、北ワジリスタン(North Waziristan)地域の住宅で、米国の無人機攻撃を受けて死亡した。

 TTPはラフマン幹部を「殉教者」としてたたえると同時に、無人機攻撃の責任はパキスタン政府にあると述べて殺害への報復を誓った。

 TTPのエフサヌッラー・エーサン(Ehsanullah Ehsan)報道官はAFPに対し「ワリウル・ラフマンを含む6人のメンバーがこの攻撃により殺害された」と述べ、ラフマン幹部の死を初めて公式に認めた。

 近年パキスタン当局を狙った爆弾攻撃を繰り返してきたTTPだが、ラフマン幹部ほどの高位の幹部が殺害されたことは大きな痛手となるとアナリストらはみている。しかしエーサン報道官は同幹部の死はTTPの決意をより強固なものにすると強調し、報復攻撃を行うと言明した。

 エーサン報道官はAFPに「彼らの殺害に対する報復は、パキスタン政府と体制に行う」と述べた。パキスタンでは「体制」は通常、軍と治安当局を指す。(c)AFP/Hasbanullah Khan