【5月29日 AFP】オランダの首都アムステルダム(Amsterdam)で28日、欧州発明者賞(European Inventor Award)の授賞式が行われ、無音で閉まるキッチンの引き出しや、がん細胞を殺傷するハイテク微小カプセルなど、さまざまな製品の発明者が栄光に輝いた。

 ビジネス、政治、メディア、学界や科学研究といった分野の専門家などからなる審査団が、5部門の最終選考に残った15人から最終的な勝者を選出した。

 産業部門では、スムーズで静かな引き出しや棚を作るために現在世界中で使用されている衝撃吸収システムを開発したオーストリアのクラウス・ヘマール(Claus Haemmerle)氏とクラウス・ブリュストル(Klaus Bruestle)氏が受賞した。

 研究部門では、従来の治療と比べ強度が弱く、効果の高いがん治療を実現する微小カプセルを開発した、パリ第11大学(University of Paris-Sud)のフランス人研究者、パトリック・クブルール(Patrick Couvreur)氏率いる研究チームが受賞した。このカプセルは、赤血球のわずか70分の1の大きさで、がん細胞まで直接到達し、搭載する物質を放出することができる。

 功労賞は、1970年に液晶ディスプレー(LCD)の特許を初めて申請した「ピクセルの父」として知られるスイスの物理学者、マルティン・シャット(Martin Schadt)氏に贈られた。このイベントを毎年主催する欧州特許庁(EPO)のブノワ・バティステリ(Benoit Battistelli)長官は、LCDについて、「忍耐と慎重さ、そして最新技術の開発に対する長期的な投資の重要性を示すもの」と語っている。(c)AFP/Maude BRULARD