【5月29日 AFP】所属するイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)で出番を減らし、レギュラーで出場できるチームへの移籍を希望しているとされるウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)だが、イングランド代表を率いるロイ・ホジソン(Roy Hodgson)監督はルーニーへの信頼を改めて口にしている。

 今季のプレミアリーグを制したマンチェスター・ユナイテッドにあって、ルーニーは厳しいシーズンを送ってきた。欧州チャンピオンズリーグ2012-13(UEFA Champions League 2012-13)のレアル・マドリード(Real Madrid)戦など、重要な試合でベンチスタートを命じられることもあり、今季加入したロビン・ファン・ペルシー(Robin Van Persie)に主役の座を奪われることも多かった。

 先発落ちに不満を募らせた5月には、チームを率いていたアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)前監督に対して口頭で移籍を志願。すると、その後のシーズン最後の2試合では、ベンチ入りメンバーからも外れた。

 事実、ルーニーは決勝点を決めた3月16日のレディング(Reading FC)戦以降、ゴールを挙げることができておらず、2013年に入ってからのリーグ戦ではわずか5得点を記録するにとどまっている。

 一方でこれとは対照的に、イングランド代表でのルーニーは、出場した直近の代表戦5試合すべてで1点以上を挙げるなど、周囲をうならせる活躍を続けた。ホジソン監督は、以前と変わらず重要な選手だとしてルーニーへの信頼を強調しており、30日の本拠地でのアイルランド戦、3日の敵地でのブラジル戦はどちらも先発出場が濃厚となっている。

「クラブチームのサッカーと、そこでの地位についてはコメントできない。しかし私とともに仕事をする、このチームでのルーニーについてなら話すことができる。初めて会ったときと変わらない、強い野心を持っていると感じるよ」

「ルーニーには絶対の信頼を置いている。本人も早く試合をして、自分の力を見せつけたくて仕方ないようだ。もちろん、力のある選手が良い試合をできないことだってあるし、力の劣る選手が良い試合をすることだってある。サッカーは厳密な科学じゃないし、望むものを必ず手に入れられるわけじゃない」

「しかし私は、就任直後からルーニーを非常に強く信頼しているし、それが揺らいだことはない。疑問への回答としては、これ以上のものはないと思う」

 来季からマンチェスター・ユナイテッドで指揮を執るデビッド・モイーズ(David Moyes)監督は、ルーニーに残留を要請しており、クラブにとどまる可能性は残っている。その場合ホジソン監督は、1トップを採用することが多いモイーズ監督の下で、ルーニーがどの程度の割合で先発するかをつぶさにチェックする必要に駆られるが、監督はその問題をさほど深刻に捉えていない。

「イングランドでは仕方のないことだ。イングランドのクラブが、イングランド人をあまり起用しないことが多いのは事実なのだから。代表選手でさえ、常にプレーしているわけではない。クラブでレギュラーの座を獲得している選手だけを代表に選ぼうとすれば、選択肢がほとんどなくなってしまう」

「第一、私にはクラブが誰を獲得して、クラブの監督が誰を使うかを決めることはできない。私としては、選手の能力を把握して、チャンスを与えたときにはその能力を見せてくれると信じるしかない。ウェインについてもそれは同じだ」

(c)AFP/Chris Hatherall