【5月28日 AFP】イラクでは27日、首都バグダッド(Baghdad)と同国北部で爆弾攻撃や銃撃戦が相次いで発生し、計58人が死亡した。同国では、後を絶たない暴力行為に、宗派対立の再燃を懸念する声が高まっている。

 バグダッドでは、イスラム教シーア派地域を主な標的とした複数の爆弾攻撃が発生した。同国での社会不穏は、シーア派率いる政府が少数派のスンニ派を周辺に追いやり、敵視しているとの非難が噴出する中で起きた。27日の一連の攻撃を含めた暴力行為による死者数は、2か月足らずで1000人近くに達しているが、政府はいまだに事態を収束できずにいる。

 今回の攻撃の犯行声明は出ていないが、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)とつながりのあるスンニ派武装勢力はこれまでに、シーア派を主な標的とする爆破事件を頻繁に起こしてきている。武装勢力はシーア派を背教者とみなしており、攻撃を継続することで緊張を高め、治安当局への信頼を揺るがそうという狙いがある。

 同国で宗派対立が最も激化したのは2006~07年。当時に比べ暴力行為は減ってはいるものの、現在も攻撃は頻発しており、今年に入ってから毎月少なくとも220人が殺害されている。(c)AFP/Mohamad Ali Harissi