【5月28日 AFP】スロベニアの冒険家で環境活動家のマテウジュ・レナルチチュ(Matevz Lenarcic)さん(54)が26日、同国の首都リュブリャナ(Ljubljana)に着陸し、超軽量飛行機による北極経由の欧州・北米往復に史上初めて成功した。

「想定を超えたトラブルがあり、冒険が長引いた。だが重要なことは、航空機が安全に到着できたことだ」と、レナルチチュさんは集まった支持者らに語った。

■北極周辺の大気汚染度を計測

 航空機は旅行中、地球温暖化のホットスポットである北極周辺の大気汚染度を計測。レナルチチュさんによると計測は全て予定通りに完了した。地球の気候変動の重要な指標となっている北極の上空を飛んだレナルチチュさんは、「北極点の気温が周囲地域よりも大幅に高い」ことに気づき、驚いたという。

 卓越した航空写真家でもあるレナルチチュさんは、北極上空、科学者もあまり測定していない高度3000~4000メートルで黒色炭素粒子などの日光を吸収する粒子の密度を測定し、写真を撮影した。石炭などの化石燃料の燃焼により発生するこれらの粒子は、太陽光を吸収する一方で、地球温暖化の複雑なメカニズムの中で大きな役割を果たしている。

 総飛行距離1万5600キロの旅に使用された機体は重量わずか290キログラムの超軽量小型機「Pipistrel Virus-SW914」。昨年、同機で世界一周旅行に成功したことを受けて、今回の旅が計画されていた。(c)AFP