【5月24日 AFP】今年後半に総選挙が予定されているアフリカ南東部スワジランドで、アルビノ(先天性白皮症)の人々が、体の一部を当選祈願の呪術の「護符」に使われる恐れがあるとして政府に保護を求めている。

 スワジランドを始めとする一部のアフリカ諸国では、伝統薬や魔術を駆使する呪術師が「万能」の存在とみなされている。こうした呪術ではアルビノの手足や体の一部が魔よけとして使われるため、アルビノ襲撃事件が後を絶たない。

 南部ンランガーノ (Nhlangano)のアルビノ・コミュニティーのリーダー、Skhumbuzo Mndvoti氏は、AFPの取材に「当局はわれわれの安全を保障しなければならない」と訴えた。「アルビノの人々や、アルビノの子を持つ親たちは、くれぐれも注意する必要がある」

 ンランガーノでは、2010年にアルビノの人たちが相次いで殺害され遺体の一部を切り取られる事件が起きている。特に子供2人が首を切り落とされて殺された事件では、地元住民らがパニックに陥った。

 シフォ・ドラミニ(Sipho Dlamini)さん(28)は、アルビノ殺害は常態化しているにもかかわらず、これまではアルビノ住民の慣習と関連付けて実態がごまかされてきたと指摘する。「昔から、アルビノの人たちは死期を悟ると誰にも見つからない遠いところへ行って死ぬのだと言い伝えられてきた。でも、本当は彼らは殺されていたんだと思う」

 Mndvoti氏は呪術医たちが、アルビノの人体の部位を護符にすれば選挙で勝利したり仕事がうまく行くなどという迷信を人々に植え付けたと非難。アルビノの人々は選挙期間中、「子ども達は集団で登下校し、1人で自宅にいることがないようにするべきだ。大人も、夜間は出歩くのを避けるほうがいい。アルビノ襲撃事件は外が暗くなってから多発している」と警告している。

 ンランガーノのアルビノ住民たちは、政府が特別な安全対策を取らない場合は投票をボイコットすると主張している。(c)AFP/Phathizwe-Chief Zulu