【5月23日 AFP】竜巻は、嵐の中でも最も猛烈な部類に入る現象だが、専門家らによると、米中部オクラホマ(Oklahoma)州オクラホマシティー(Oklahoma City)郊外を20日に通過したほどのサイズと勢いになることは極めてまれだという。

 加えて、竜巻が市街地を直撃することもめったにない。

「概して、竜巻は直径100メートルほどで、地上ではおよそ約5~10分続く」と、英レディング大学(University of Reading)の気象学者、ロス・レイノルズ(Ross Reynolds)氏は説明する。竜巻が直撃したムーア(Moore)市の住民は、さまざまな意味で不運だったという。

 ムーアを襲った竜巻は、直径3キロメートルで、およそ45分間続いた。竜巻内部の風速は74~89メートルに達した。

「竜巻が市街地に進入したことは不運だった。通常、竜巻に襲われるのは農地、作物や農家の建物だ。市街地を通過すると大惨事になる」とレイノルズ氏。だが、ムーア周辺のように市街地がまばらにしか存在しない場所では、その確率は極めて低いという。

■竜巻多発地帯「トルネード・アリー」

 竜巻は極寒地帯を除くほとんどの陸地で発生する。特にアルゼンチンやバングラデシュでは一般的な現象だ。陸地面積当たりの竜巻発生数が最も多いのは英国だが、米中部・南部のテキサス(Texas)、オクラホマ(Oklahoma)、カンザス(Kansas)の3州では、地理的・気象学的特徴が原因で、世界で最も強力な竜巻が発生する。

「トルネード・アリー(Tornado Alley、竜巻の通路)」と呼ばれるこの地域では、メキシコ湾(Gulf of Mexico)からの暖かく湿った空気と、砂漠地帯からの熱く乾燥した空気、そしてロッキー山脈(Rocky Mountains)や北部の平原からの冷たく乾燥した空気がぶつかり、「スーパーセル(supercell)」と呼ばれる雷雲が作られる。スーパーセルは、発生からわずか30分以内に竜巻に急成長することもある。

 米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)によると、竜巻の大半は5~6月の午後4時~9時の間に発生する。トルネード・アリーではこの時期、1日3~4個の竜巻が発生することもあるが、風速73メートルを超える危険な規模の竜巻は、そのうちの2%ほどだ。(c)AFP