【5月23日 AFP】英ロンドン(London)南東部ウーリッチ(Woolwich)で22日に起きた英軍兵士の刺殺事件で、容疑者の男2人に対峙(たいじ)し話しかけた1人の女性がいた。この女性、イングリッド・ロヨーケネット(Ingrid Loyau-Kennett)さん(48)は23日付の英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)に、「刃物が1人に向けられるほうが良いと思ったから」と自らの行動について説明した。

 ロヨーケネットさんは、カブスカウトの指導者も務める2児の母。事件当時はバスに乗っていたが、路上に横たわる被害男性を見てバスを降り、男性の脈を取ろうとした。そこで初めて、刃物や拳銃などの武器に気がついたという。

 ロヨーケネットさんは容疑者の男に面と向かって、なぜ犯行に及んだのかと問いかけた。すると男は「ロンドンで今夜、戦争を始めるつもりだ」と答えた。男は「薬物もやっていなかったし、アルコール中毒でも酔っ払ってもなかった。ただ苦悩を抱え、いら立っていただけだった」という。

「私が『たくさんの人がいるから、あなたたちは負けるわよ。何がしたいの?』と尋ねると、彼は『とどまって戦いたい』と言いました」(ロヨーケネットさん)

 その後、ロヨーケネットさんはもう1人の容疑者の男に近づいて、刃物を渡すよう言った。「その場にいた他の人たちに武器が向かうより、私1人だけに向けさせた方が良いと思ったんです。学校から生徒たちが帰る時間でしたし」

 ロンドン警視庁のバーナード・ホーガンハウ(Bernard Hogan-Howe)警視総監は、容疑者の男2人の身柄を拘束し、対テロ班主導で殺人事件として捜査を開始したと発表した。(c)AFP/Robert MacPherson