【5月17日 AFP】国際的なファストフード店が存在しないパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)では今、ジャンクフードに飢えた人々のためにケンタッキー・フライド・チキン(KFC)をエジプトから密輸するサービスが、人気を集めている。

だが、配達まで数時間を要するため、これを「ファスト(速い)フード」と呼ぶのは難しい。さらに、エジプトからの輸送費やガソリン代が上乗せされるため、価格は約2倍と割高だ。


このサービスを行っているのは、ガザ市内にオフィスを構える配送会社「ヤママ(Yamama)」。交流サイトのフェイスブック(Facebook)に作られた公式ページには、「木曜午後6時の配達をご希望の方は、水曜夜までにご注文を」と書かれている。

ヤママは1回当たり30人前ほどの注文を、ガザ地区から約40キロ離れたエジプト北部の街アリシュ(El-Arish)にあるKFC店舗に発注する。商品は車でガザ地区との境界まで運送された後、ガザ地区南部のラファ(Rafah)に通じる地下トンネルを通って運ばれ、そこから再び車に乗せられてガザ市(Gaza City)内の本社に届けられる。その後、オートバイで注文客に配達するため、所要時間は3、4時間かかる。

2007年にイスラエルがガザ地区を封鎖して以降、同地区では入手困難な品物の密輸が横行しており、ファストフードの密輸はその流れの一環だ。  ヤママが販売する20ピース入りのフライドチキンの料金は、130シケル(約3500円)と、エジプト・アリシュの料金の2倍だが、3週間前のサービス開始以来、注文は順調に増え続けているという。(c)AFP/Mai Yaghi