【5月14日 AFP】甲虫や芋虫、ハチなどの昆虫は、欧米の消費者が「気持ち悪さ」さえ克服できれば、世界中で環境に優しい食糧源として活用できるかもしれないとの報告書が、国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)により13日、発表された。

 FAOのエバ・ミュラー(Eva Mueller)森林経済局長はイタリア・ローマ(Rome)で記者会見し、「主なメッセージは冗談抜きで『昆虫を食べよう』です。昆虫は豊富に存在し、貴重なタンパク源でありミネラル源なのです。世界人口の3分の1に当たる20億人が、すでに昆虫を食べています。おいしくて栄養価が高いからです」と述べた。

 FAOとオランダのワーゲニンゲン大学(Wageningen University)の共著によるこの報告書では、「昆虫はどこでも見つかり、短期間で繁殖し、高い成長率と飼料転換効率を誇り、環境に与える負荷も低い」とされている。

 同報告書によると、水分を除いた100グラム当たりの鉄分は牛肉が6ミリグラムなのに対し、イナゴ・バッタ類では8~20ミリグラムに上るという。また、昆虫肉1キログラムを生産するのに2キロの飼料が必要となるのに対し、牛肉1キロを生産するには8キロもの飼料を要する。

 しかし報告書の著者らは、「多くの欧米諸国で、昆虫を現実的なタンパク源として受け入れる際の最大の障壁の一つは、消費者が感じる気持ち悪さにある」ことを認めている。ミュラー氏は、「誰でも気軽に虫を口の中へ放り込めるというわけではありません。そうなるまでには時間がかかるでしょう。でもすでに実践している人もいるのです」と話した。(c)AFP/Ella Ide