【5月12日 AFP】エジプトで2011年に反政府デモ参加者数百人の殺害を命じた罪で終身刑を言い渡されたホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領(85)の再審理が11日、カイロ(Cairo)で始まった。

 この公判ではハビブ・イブラヒム・アドリ(Habib Ibrahim al-Adly)元内相と当時の治安当局幹部6人の審理も行われる。ムバラク元大統領は2人の息子のアラア(Alaa)被告とガマル(Gamal)被告と共に汚職の罪にも問われている。被告は全員、無罪を主張した。

 公判は騒々しい野次が飛ぶ中で始まった。アラア、ガマル両被告が被告席に立つと、被害者家族らは口々に「人々は殺人者の死刑を求めている」と叫んだが、ムバラク元大統領と2人の息子は動じない様子だった。裁判官は法廷の秩序維持にも苦労する状態で、弁護士が質問のため法廷の前部に移動するのも容易ではなかった。

 ムバラク前大統領は1回目の審理で終身刑を言い渡されたが、手続きに誤りがあったとして破棄院(最高裁)が今年1月に裁判のやり直しを命じていた。再審理の公判は4月13日にいったんは開かれたが、裁判官が開始直後に担当をはずれると宣言し、公判は数秒で終わっていた。

 11日の公判では、マフムード・ラシディ(Mahmoud al-Rashidi)裁判長が、傍聴人らが訴訟手続きに不満を感じていることに理解を示しつつ、法廷の秩序維持に協力を求めた。同裁判長はまた、再審理の中で新たな証拠が提出されることを確認した。これまでに提出された書類は5万5000ページにも及ぶ。次回の公判は6月8日に予定されている。(c)AFP/Ines Bel Aiba