【5月9日 AFP】2010年に大地震に見舞われたカリブ海の島国ハイチでコレラが大流行し、発生源が国連平和維持部隊の宿営地だったとみられている問題で、感染した被害者や犠牲者の遺族らが8日、国連(UN)に対し60日間の補償交渉期限を突き付けた。交渉がまとまらなければ、数十億ドル規模の損害賠償を求める訴訟を起こす構えだ。

 米国を拠点に活動する人権団体「ハイチの正義と民主主義研究所(Institute for Justice & Democracy in HaitiIJDH)」によれば同団体は現在、2010年10月に発生したコレラの被害者8000人と、死者8100人以上の犠牲者や遺族を代表している。
 
 ブライアン・コンカノン(Brian Concannon)IJDH代表は、期限までに国連から回答がなければ、米ニューヨーク(New York)の裁判所に国連を提訴するほか、欧州でも訴訟を起こす方針を明らかにした。IJDHの弁護団は、犠牲者遺族に各10万ドル(約990万円)、存命中の被害者1人につき各5万ドル(約445万円)の補償を求めており、総額で数十億ドルに上る可能性がある。

 コレラの発生源は、国連平和維持活動で派遣されたネパール軍が拠点としていたハイチ中部ミルバレ(Mirebalais)の宿営地横に流れる川で、流行したコレラ株はネパールでの流行株と同一だった。感染者数は65万人を超える。

 しかし国連は、国連の任務遂行は1946年の条約に基づき特権免除の対象となっており、補償要求に応じることはできないと主張している。

 ハイチでは2010年1月のハイチ大地震で25万人が死亡したとされ、復興がなかなか進まずにいるが、コレラ流行は惨状に追い打ちをかける結果となっている。(c)AFP