【5月9日 AFP】太平洋上を4週間近くにわたって漂流し、生魚と雨水で生き延びた漁師2人が救助されたと豪放送局ABCが8日、報じた。20歳と40歳の男性2人は島しょ国キリバスの出身だという。

 2人はキリバスから約700キロメートル離れた洋上で、サモア船籍の米国のマグロ漁船「パシフィック・プリンセス(Pacific Princess)」号に救助された。同号のアルフレッド・カネパ(Alfred Canepa)船長によると、マグロを探しているときにレーダーに小さな鳥の群れのような影が映ったという。

「近づいてみたら、幸運にも、小さなボートに乗った男性2人が漂流しているのを見つけたんだ」(カネパ船長)

 カネパ船長が聞いた話によれば、2人の漁師はアルミニウム製の小型ボートで漁をしていたが、船外機(推進システム)が壊れてしまったため潮流に流されるまま26日間、漂流していたという。

 2人とも栄養失調状態で、外洋でさらに生き延びることはできなかっただろうとカネパ船長は話した。「ものすごく辛かったはずだ。救助してすぐに水を渡した。今は乾期で、2人の漂流中も雨はほとんど降っていない。しかたなく彼らは海水を飲み始めたそうだが、それこそ命取りだ。あと3日ももたなかっただろう」

 カネパ船長によれば、水を飲んだ2人が最初に希望したのは、パシフィック・プリンセス号の船内に設けられた教会を訪れることだった。2人は、生還を感謝して3時間祈り続けたという。

 2人を救出後、パシフィック・プリンセス号は予定していた漁を中止し、1日半かけて現場海域から最も近いソロモン諸島の首都ホニアラ(Honiara)港に6日に到着した。(c)AFP