【5月7日 AFP】米ハーバード大(Harvard University)のチームがハチにヒントを得て製作した極小ロボットの試作版が空を飛んだ。まだ電力ケーブルに接続した状態だが、将来的には植物の受粉促進や、災害現場での生存者捜索などに応用できると期待される。

 この極小ロボットは硬貨ほどの大きさで重量は80ミリグラム。翼は1秒間に120回羽ばたく。米科学誌サイエンス(Science)によれば、今のところまだ細い電源ケーブルが接続されているが、試験飛行では、約20秒間の空中静止など基本的な飛行が可能なことが示された。

 チームはロボットの性能を向上させるヒントを求め、実際のハチを研究している。論文の共著者で博士研究員のソーヤー・フューラー(Sawyer Fuller)氏は「ハチは小さな脳しか持たないが、自然界の中でも最も驚異的な曲芸飛行をする。その能力はわれわれがロボットでできることをしのいでいる。生態をもっとよく理解し、研究に役立てたい」と述べている。

 研究主任であるハーバード大学工学・応用科学科(Harvard School of Engineering and Applied SciencesSEAS)のロバート・ウッド(Robert Wood)教授によれば、この極小ロボットが飛行にたどり着くまでに12年の歳月がかかった。同教授は「製作力、素材、設計において近年の研究室の飛躍的な進歩があったからこそ試験(飛行)ができた。見事にうまくいった」と満足感を示している。

 ただし、自力飛行を可能にするだけのパワーと軽量さを備えた携帯式高出力密度燃料電池による解決策が見つかるまでは、電力ケーブルに「つながれている」という。(c)AFP