【5月6日 AFP】社会党(PS)のフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領就任から約1年がたつフランスで5日、「左派層を裏切った」などとしてオランド政権を批判する抗議デモがパリ(Paris)市内で行われ、数万人が参加した。

 オランド氏がニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前大統領を破り大統領に当選した昨年5月6日から1年の節目を翌日に控えたこの日、フランス共産党(PCF)などによる政党連合「左翼戦線(FG)」は、フランス革命の象徴であるバスチーユ(Bastille)広場を起点とするデモ行進を主催した。

 一方、パリ市内の別の場所やその他の都市では、同性婚の合法化に反対するデモに数千人が参加し、先月に成立した同性婚法への署名を行わないよう、オランド大統領に求めた。

 世論調査の結果では、オランド大統領はフランス近代史上最も支持率の低い大統領となっている。有権者の多くは、後退の瀬戸際にある経済と過去16年で最高の失業率に怒っている。

 先月にはオランド政権のジェローム・カユザック(Jerome Cahuzac)前予算担当相の脱税スキャンダルが勃発。そうした中、昨年の大統領選で左翼戦線の候補だったジャンリュック・メランション (Jean-Luc Melenchon)氏が、今回のパリ抗議行動を呼びかけた。同氏は主催者推定18万人、警察発表3万人のデモ参加者に対し、現社会党政権は左派の支持者たちを裏切った、と演説した。

 日刊紙パリジャン(Le Parisien)とのインタビューでメランション氏は、オランド大統領に「当選時にとっていた左派の立場への回帰」を要請。株主の利益、大企業そして欧州の緊縮政策にばかり目を向け、勤労者に不利益を与えて欧州経済危機の一端を担っているとして、同大統領を非難した。

 世論調査では、今選挙が行われれば、得票率は国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首がサルコジ前大統領に次いで2位となり、オランド大統領は両者に大きく引き離され3位になるとの結果が出ている。同大統領の当選後の支持率は、1958年の第五共和国創立以降の大統領の中で最も急速かつ大幅な低下を続けている。(c)AFP/Katell Prigent