【5月2日 AFP】英国が北米大陸に初めて建設した永続的植民地のジェームズタウン(Jamestown)で、初期の植民者らが食人をしていた証拠が、14歳の少女の骨の分析により見つかった。米研究チームが1日、発表した。

 米スミソニアン国立自然史博物館(Smithsonian National Museum of Natural History)の人類学者らによると、1609~10年の冬に起きた飢饉(ききん)によって人口の約8割が犠牲となったジェームズタウンでは、生き残った一部の住民が死亡した子どもの脳に手をつけようとしたようだ。

 少女の頭蓋骨と頸骨(けいこつ)を分析したスミソニアンの法人類学者、ダグラス・アウズリー(Douglas Owsley)氏によると、頭蓋骨には慣れない手つきで脳を取り出そうとした痕跡が残されていた。骨に残された異常な切断面からは、動物の死骸解体の経験に乏しい者が、ためらいながら脳と顔の肉を体から取り除いたことがうかがえ、食人の意図があったのは明らかだという。

 イングランドから現在の米バージニア(Virginia)州に移住した少女の骨は、2012年に発掘されたが、他と比べて断片化の程度が高いという奇妙な特徴を持っていた。少女の歯や頭蓋骨の一部は、解体された馬や犬の骨と同じ場所で見つかった。

 新世界に到着した植民者たちが、厳しい生活環境によって食人行為を強いられた可能性は、かねて論じられてきたが、今回の発見はジェームズタウンで食人が行われたことを示す初めての物的証拠となった。

 ジェームズタウンの植民地は、100人あまりの植民者によって1607年に設立された。だが飢饉や干ばつ、疫病によって、人口は最初の9か月で38人にまで減り、住民らは補給船からの物資に大きく頼らざるをえなかった。(c)AFP