【5月3日 AFP】救急医療が必要な子どもたちが気を紛らわせることができる、確実でしかも低コストな方法を、アイルランドの医師たちが考案した──医療用のゴム手袋を膨らませて顔を描き、指の部分をとがった髪型のように整える、これだけだ。

 この方法を編み出したのは、ダブリン(Dublin)にあるタラ病院(Tallaght Hospital)の医師チームだ。前月29日に英医学誌「緊急医療ジャーナル(Emergency Medicine Journal)」に掲載された論文によると、同病院の医師らは、医療用手袋で作った人形が子どもたちの間で大人気だったため、科学的に検証することにしたという。

 手袋人形の1つは、アイルランドのジョン(John Grimes)とエドワード・グライムス(Edward Grimes)の双子の兄弟によるポップデュオにちなんで「ジェドワード(Jedward)」と命名された。5本の指が髪の毛で、手のひら部分が顔となる。

 モヒカン刈りを意味する「モホーク(Mohawk)」と名付けられた、もうひとつの手袋は、4本の指でモヒカン風の髪形を表し、親指は鼻となり、その両側に目、鼻の下に口を描いた。

 この2つの手袋人形を、2~8歳の小児科患者149人で試したところ、子どもたちがジェドワードを選んだ事例は75回、モホークは61回で、人形を嫌がった子どもはわずか13人だった。

 この結果からタラ病院の医師チームは「一般的な病院の手袋を風船のように膨らませて顔を描く。これは重傷の子どもたちの気をそらすために役立つ方法だ」と結論付けた。その場合、人形の顔は「ジェドワード」風に描くほうが望ましいと付け加えている。(c)AFP