【4月30日 AFP】欧州連合(EU)で29日、ハチの激減と関連性があるとされる殺虫剤3種の使用を2年間にわたり禁止することが決まった。禁止令は12月1日から施行される。

 欧州委員会(European Commission)はハチ激減の原因とされる殺虫剤の使用禁止案を提案。29日に加盟国による投票が行われ、ドイツ、フランス、スペインなど15か国が賛成し、可決した。反対票を投じたのは英国、ポルトガルなど8か国、アイルランドとギリシャを含む4か国は棄権した。

 トニオ・ボルジ(Tonio Borg)欧州委員(保健・消費者保護担当)は「われわれの生態系に必要不可欠で、欧州域内の農業に年間220億ユーロ(約2兆8000億円)超の利益をもたらすハチが確実に保護されるよう、最善を尽くすことを約束する」と述べた。大陸規模で殺虫剤が禁止される世界で初めての例となる。

 禁止の対象はドイツの化学・製薬大手バイエル(Bayer)製の殺虫剤「イミダクロプリド」と「クロチアニジン」、スイスの農業バイオ大手シンジェンタ(Syngenta)製のチアメトキサム。これら3種は、種子の消毒のために使用されたり、ハチを引き寄せる植物や穀物、土壌に散布される。世界の食料生産に不可欠な昆虫による花の受粉のうち80%はハチが行っており、ハチがいなくなると、多くの作物は結実が不可能になったり、人工授粉が必要になってくる。

 欧州食品安全機関(European Food Safety AuthorityEFSA)は今年初め、殺虫剤3種はハチなどの受粉を行う昆虫に憂慮すべき危険性を与えるとの報告書を発表。これを受け、欧州委員会は4つの主要穀物―トウモロコシ、菜種、ヒマワリ、綿花―への使用禁止を加盟各国に求めた。(c)AFP/Christian SPILLMANN