【4月25日 AFP】米軍の研究チームの22日の発表によると、宇宙飛行士たちの免疫系が無重力状態では機能しにくい原因に関する新たな手掛かりが、2年前宇宙へ旅立った実験によってもたらされた。

 研究チームは、血管の内側にある細胞を国際宇宙ステーションへ送り、6日間休ませた後、この細胞を「敗血症」として知られる血液の感染症を広範囲に起こす強力な内毒素(エンドトキシン)であるリポ多糖(LPS)に導入した。

 単純に6日間宇宙で過ごさせた後に細胞は遺伝的変化を示し始めたが、これは無重力状態での免疫低下に典型的な変化で、宇宙飛行士によくみられる状態だった。

 米ボストン(Boston)で開かれた実験生物学のカンファレンス「エクスペリメンタル・バイオロジー2013(Experimental Biology 2013)」で発表を行った米陸軍衛生司令部(US Army Medical CommandMEDCOM)統合システム生物学プログラムを率いるマーティー・ジェット(Marti Jett)氏は「作動薬を加えたが反応しなかった」と報告した。研究チームは同じ実験を地球上でも再現し、通常の重力状態での感染の進行と宇宙でのそれを比較した。これらの実験は敗血症の治療に新たなヒントとなると期待される。

 米国では毎年約75万人が敗血症にかかっている。敗血症は治療しなければ死に至ることもあり、手術後の主な死因の一つでもある。(c)AFP