【4月24日 AFP】米ソーシャルニュースサイトの「レディット(Reddit)」は22日、自社サイトが米ボストン爆発事件の後にオンライン上で起きた「素人探偵」による「魔女狩り」の中心となったことを謝罪した。

 レディットのエリック・マーチン(Erik Martin)・ゼネラルマネージャーはブログで「最初は崇高な志で始めたものだが、レディットの活動の一部が、オンライン上での『魔女狩り』や危険な憶測をかきたて、それが無実の関係各方面にとって非常に否定的な結果をもたらす事態に陥った」と釈明した。

 同氏によれば、オンライン上で不特定多数の人々から「クラウドソーシング」方式で情報を募り、ボストン爆発事件の背後にいる者を突き止めようとする過程で、行方不明になっている大学生の関与が誤って取り沙汰されたことについて、レディットと一部のユーザー、まとめ役となったモデレーターなどは大学生の家族に個別謝罪した。

 今回の事件では数日後から「サイバー探偵」を自任する人々がソーシャルメディア上に大挙して現れ、マラソンのゴール地点付近で携帯電話やカメラで撮影された写真やビデオ画像、爆発のテレビ映像などを共有し、分析しようとした。このオンラインによる犯人追跡では、正式な捜査よりも先に黒いリュックサックを背負った人々に焦点が当てられたり、容疑者と怪しまれる人物の写真が次々と投稿・注目された。「青い服の男」「走り去る男」「茶色のプルオーバーの男」などの画像が、レディットや米画像掲示板「4chan」上で非常に細かい点まで分析された。

 一方で「自警行為」を警戒する声もあがった。インターネット上の権利擁護活動に取り組む米非営利団体、電子フロンティア財団(Electronic Frontier FoundationEFF)のシンディ・コーン(Cindy Cohn)氏は「レディットで行われたようなクラウドソーシングによる捜査が有効となりうるかどうか、まだ我々には分からないと思う。まだ非常に新しいものだからだ」と言う。

「実際の警察には熟練した技術があるが、彼らでも時に誤ることがありその影響を受けた人々にとって恐ろしい結果を生んでいる」と述べながらコーン氏は、容疑者の誤認があった例として、96年のアトランタ五輪や04年のスペイン・マドリードで起きた列車爆破事件を挙げた。「重要なのは、協力しようとするアマチュアは慎重になり、結論に飛びつかないようにすることだ」

(c)AFP/Glenn Chapman