【4月19日 AFP】世界で最も人気のある観賞魚の1種、ゼブラフィッシュが17日、ラットやマウス、ショウジョウバエ、線虫など全DNA配列が解読された生物の仲間入りを果たした。人間の病気に関する研究への活用が期待されている。

 研究コンソーシアムは、欠陥遺伝子の特定に不可欠なモデルとして、ゼブラフィッシュのゲノム(全遺伝情報)を英科学誌ネイチャー(Nature)上に発表した。

 縞模様のある小型魚のゼブラフィッシュ(学名:Danio rerio)の遺伝子数は2万6000で、70%が人間と共通しており、人間の病気との関連が分かっている遺伝子の84%が含まれている。

 ゼブラフィッシュはライフサイクルが短い上、胚形成期には透明なため、実験生物として極めて有用とされている。ゼブラフィッシュの研究によってこれまでに、がんや心臓病の解明につながる手掛かりや、筋ジストロフィーに関連する遺伝子など筋肉や臓器の発達に関する高度な知識が得られている。

 米マサチューセッツ(Massachusetts)州にあるボストン小児病院(Children's Hospital Boston)のレオナルド・ゾン(Leonard Zon)氏は「ゼブラフィッシュのゲノム内では、人間の健康と疾患に関連する遺伝子変異を容易に作成できる。これは、遺伝子機能の理解の向上や、薬物療法の新たなターゲットの発見につながっている」と語る。

 ゾン氏によれば、ゼブラフィッシュのシステムを用いて発見された小分子のいくつかは最近、臨床試験に入ったところだ。「疾病モデルと化学スクリーニング能力の急速な拡充に加えて、ゲノム配列の情報が入手できるとなれば、ゼブラフィッシュのシステムが生体臨床医学で大きな位置を占めるようになるのは確実だ」と言う。(c)AFP