【4月22日 AFP】宇宙がまだ幼年期の頃に発せられた光の観測により、1年に約3000個という、現在の天の川銀河(Milky Way)より2000個も多い割合で星を大量に生成している巨大銀河の存在が明らかになったと、欧米の天文学者らが17日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

「HFLS3」と名付けられたこの銀河には、太陽質量の400億倍近くに相当する大量の星が存在する。

 研究によると、12基の望遠鏡を組み合わせて捕らえたHFLS3の光は、今から約128億年ほど前、宇宙の誕生から9億年足らずの時期に発せられたものだという。

 米ニューヨーク(New York)州にあるコーネル大学(Cornell University)のドミニク・リーチャーズ(Dominik Riechers)氏は「この銀河は、ビッグバン(Big Bang)からわずか8億8000万年後に極めて爆発的な星形成活動が存在したことの証拠だ」と話す。「この銀河の観測で、最も初期の銀河の発達における非常に重要な時期に関する貴重な情報が得られた」

■最新電波望遠鏡アルマ、驚異的ペースで「星生産工場」を捕捉

 また、欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)は17日、南米チリのアタカマ砂漠(Atacama Desert)にある最新のアルマ電波望遠鏡(ALMA)による驚異的な観測結果を報告した。

 ALMAは、HFLS3のような初期宇宙の「星生産工場」の存在を特定するために設計された電波望遠鏡で、林立するアンテナを組み合わせて使用して、比較的長い波長域の光を捕らえる。この波長域の光は、星形成を行っている銀河からの光を遮る星間塵(じん)の影響を受けずに透過する。

 ESOによると、ALMAによる観測で、初期宇宙で最も星形成が盛んに行われている銀河を100個以上発見したという。

 ESOは「ALMAは非常に有能なので、この種の銀河を対象にして、世界中にある同様の望遠鏡すべてが10年以上にわたって観測して発見した数と同数の銀河を、ものの数時間で捕捉した」とプレスリリースで述べている。

 この観測データは、「英国王立天文学会誌(Monthly Notices of the Royal Astronomical SocietyMNRAS)」に掲載されている。(c)AFP