【4月18日 AFP】頭部を膨張させて魚の腸にへばりついている寄生虫からヒントを得て、傷の表面が湿っている場合でも植皮片を適切な位置に固定する画期的な方法を開発したとの論文が、16日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 米国の研究チームは、組織の損傷や感染症の原因となる恐れのある手術用ホチキスの代わりに、一面に埋め込まれた円すい形の極小針で皮膚に固定するパッチを考案した。

 この極小針は、プラスチック製の硬い芯と、膨潤性の先端部とでできている。先端部は、表面組織が乾燥している場合は変形しないが、表面に水がある場合は水と接触して膨張するようになっている。先端部は10分以内に膨張して、パッチを皮膚にしっかりと固定する。こうして、移植片がやけどなどの傷口に固定される。

 米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)の生物医学工学者のジェフリー・カープ(Jeffrey Karp)氏は「このユニークな設計によって、軟組織に針を接着させ、その際の損傷も最小限に抑えることができる」と語る。「さらに、接着をはがす時にも、ホチキスと違って、組織、血管、神経などが負う外傷も少なく、感染症のリスクも軽減される」

 このパッチは、頭部にとげを持つ寄生虫の鉤頭虫類から発想を得て開発された。この寄生虫は、海水魚の腸壁を貫いて、サボテンのようなとげのある細長い頭部を膨張させ、腸壁から外れないようにする。

 また研究によると、この極小針は、微量の抗生物質や抗炎症薬を外傷部に投与するための経路として利用できる可能性もあるという。(c)AFP