【4月13日 AFP】米国で最も成功したバレリーナの1人であり、伝説的な振付師ジョージ・バランシン(George Balanchine)氏のかつての妻でミューズだったマリア・トールチーフ(Maria Tallchief)さんが11日、死去した。88歳だった。

 親族によると、トールチーフさんは自身が創設し、すでに解散したシカゴ・シティ・バレエ団(Chicago City Ballet)の本拠地シカゴで死亡。娘のエリーズ・パッシェン(Elise Paschen)さんは、「母は偉大なバレリーナであり、オーセージ(Osage)族の伝統に誇りを持った人でした」との声明を発表した。トールチーフさんは、アメリカ先住民オーセージ族の血を引いている。

 バランシン氏と共にニューヨーク・シティ・バレエ団(New York City Ballet)で活躍したトールチーフさんは、1948年から1965年まで同バレエ団のプリマ・バレリーナだった。

 バランシン氏はトールチーフさんが主役を務めた作曲家イーゴリ・ストラビンスキー(Igor Stravinsky)の「火の鳥(Firebird)」などで振り付けを担当。また、トールチーフさんが踊った「白鳥の湖(Swan Lake)」や「オルフェウス(Orpheus)」は、バランシン氏の振付師としての地位の確立に一役買ったとされている。

 オーセージ族の父親とアイルランド系スコットランド人の母親の間に1925年に生まれたトールチーフさんは、メジャーなバレエ団で脚光を浴びた初の米先住民の1人だった。

 当時はバレリーナとして人気が出そうなロシア風の名前を使うことが一般的だったが、オーセージ族の伝統に誇りを持っていたトールチーフさんは拒否したとされる。(c)AFP