【4月7日 AFP】フランシスコ(Francis)新ローマ法王は5日、カトリック教会にはびこる聖職者による未成年者への性的虐待の問題について、バチカン(ローマ法王庁、Vatican)は「決意を持って」この問題に対処しなければならないと呼び掛けた。

 バチカンの声明によると、聖職者の規律維持に関する問題を扱う教理省のゲルハルト・ルートヴィヒ・ミュラー(Gerhard Ludwig Mueller)長官(大司教)と会談した法王は、「性的虐待の問題に断固として対応」するよう要請した。前法王ベネディクト16世(Benedict XVI)の後継者として3月13日に選出されて以来、法王フランシスコがこの問題に公に言及したのは初めて。

 声明はまた、バチカンが今後、前法王ベネディクト16世が「打ち立てた路線」を継承する方針を明らかにした。相次ぐ性的虐待スキャンダルへの対応に苦慮した前法王は、ローマ法王として初めて聖職者による性的虐待の被害者に謝罪。こうした虐待を一切容認しない姿勢を打ち出した。何十年も前から続いてきたとされる性的虐待の被害者は、数万人に上るとみられている。

 バチカン教理省(Congregation for the Doctrine of the Faith)は2011年5月、性的児童虐待を行っている疑いのある聖職者について通報するよう司教らに指示するとともに、こうした聖職者を未成年者と接触する機会のある職務に就かせないよう命じる文書を発行。各国のカトリック司教協議会に対し、それぞれの対応策を示した指針を1年以内に作成するよう命じた。教理省によると、各国の司教協議会のうち4分の3が、2012年9月末までにこの指示に応じている。

 法王庁によると、聖職者による性的虐待は現在でも年間約600件が報告されているが、その多くは1960年代から80年代に起きたことだという。(c)AFP/Ljubomir MILASIN