【3月29日 AFP】2週間近くに渡って営業を停止していたキプロスの銀行が28日、警備員を配置した物々しい雰囲気の中で営業を再開した。一方、人々は預金の引き出しに対する厳しい制限に直面している。

 3月16日以後営業を停止していた銀行の前には、現地時間正午(日本時間の午後7時)の営業再開を待つ人々の長蛇の列ができた。開店が遅れたいくつかの店舗では、客がドアを叩くなどして一時緊張が走った。

 金融破綻を回避するために、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が100億ユーロ(約1兆2000億円)規模の金融支援と引き換えに、欧州経済で初めて資本規制を行うことを要求されたキプロスの金融危機をめぐり、世界の株式市場は神経を尖らせた。

 首都ニコシア(Nicosia)・マカリオス通り(Makarios Street)にあるライキ銀行(Laiki bank)の前で、12人ほどの列に並んでいた失業中の電気技師の男性は、AFPに対し、「最悪な1日になりそうだ。暴言も吐きそうだし、怒りも募りそうだよ」と語った。ニコシアのほとんどの銀行には、早朝から入口に1人から3人の警備員が立ち、武器を装備する警備員もいた。

 一方の銀行側は、1日あたりの預金の引き出し限度額を300ユーロ(約3万6000円)とすることを含めた規制リストを提出し、人々が銀行に殺到してすでに脆弱な国内経済に更なる追い討ちをかけないよう、防御策をとった。また、キプロス政府は銀行の営業再開に先立つ27日、銀行窓口での預金引落しについて、クレジットカードの所有率が低い高齢者を優先するようテレビで呼びかけた。(c)AFP/Danny Kemp