【3月29日 AFP】フランシスコ(Francis)新ローマ法王は28日、イタリアの首都ローマ(Rome)市内の少年院を訪れ、イースター(復活祭)前の伝統儀式「洗足式」で少女2人を含む収容受刑者12人の足を洗った。ローマ法王が少年院で洗足式を執り行うのも、儀式の対象に女性を含めるのも今回が初めて。中南米出身者として初めてローマ法王に選出され、「弱者に寄り添うカトリック教会」を目指すフランシスコ法王の試みの一環とみられる。

「頂点に立つ者は誰であれ、他者に奉仕しなければならない」。フランシスコ法王は、カサル・デル・マルモ(Casal del Marmo)少年院で行われた洗足式の冒頭でこう述べた。

 少年院関係者によると、儀式の対象となった少女2人のうち1人はイスラム教徒で、これも史上初とみられる。

■伝統をうち破った新法王、波紋広がる恐れも

 洗足式は、イエス・キリスト(Jesus Christ)が最後の晩餐で12人の使徒たちの足を洗ったことに因んで行われる儀式で、謙虚さを表すものとされる。

 歴代のローマ法王は、復活祭前の「聖木曜日(Holy Thursday)」に、ローマのサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂(St John Lateran's Basilica)、またはバチカン市国のサンピエトロ大聖堂(St Peter's Basilica)でこの儀式を行い、12人の使徒に見立てた年齢と国籍の異なる12人の司祭の足を洗うのがバチカンの伝統だった。

 前ローマ法王のベネディクト16世(Benedict XVI)が2007年に儀式を一部変更し、司祭ではなくローマに住む12人の男性信者を選出するようになったが、フランシスコ法王は今年の洗足式の対象に女性も含めたことで、カトリック教会の伝統に大きな変革をもたらした。

 だがカトリックの伝統を重んじる人々はキリストの使徒が全員男性であったと信じており、今回の儀式に女性2人が含まれたこと、さらにうち1人はセルビア系イスラム教徒だったことで、信者の間であつれきが生じる恐れがある。(c)AFP