【3月25日 AFP】男性が高齢になってから生まれた娘や息子の子供(男性からみて孫)や、被虐待体験のある母親の子供で自閉症の確率が高まるとの研究結果が20日、米国医師会(American Medical AssociationAMA)の精神医学専門誌「JAMAサイキアトリー(JAMA Psychiatry)」に発表された。二つの別の研究チームの分析結果は、遺伝と環境の影響による自閉症のリスクが世代を越えて及びうることを示している。

 自閉症患者とその祖父に関する1番目の研究は、キングス・カレッジ・ロンドン(King's College London)の精神医学研究所、スウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)、豪クイーンズランド脳科学研究所(Queensland Brain Institute)が共同で、スウェーデンで1932年以降に生まれた自閉症患者約6000人と健常者3万1000人の記録を検証した。

 この研究では、50歳以上になって子供ができた男性と、20~24歳で子供ができた男性を比較した。すると男性の子どもが娘だった場合、男性からみた孫が自閉症の確率は前者が後者の1.79倍、男性の子どもが息子だった場合、男性からみた孫が自閉症の確率は前者が後者の1.67倍だった。

 2番目の研究は、米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public HealthHSPH)が「米国ナースヘルス研究(US Nurses' Health Study)II」のデータに基づいたもので、自閉症の子供を持つ母親451人と、子供が自閉症ではない母親5万2000人以上の記録を検証した。

 すると対象とした母親の4分の1もに極度の身体的・感情的虐待を受けた経験があったが、この母親たちの子供が自閉症になるリスクは、被虐待経験のない母親の子供に比べて61.1%上昇した。論文の主著者であるHSPH社会行動科学研究所のアンドレア・ロバーツ(Andrea Roberts)研究員はこの結果について「まったく新しい自閉症のリスク要因だ」と述べている。(c)AFP