【3月19日 AFP】米連邦最高裁は18日、インターネットから楽曲ファイルを違法ダウンロードしたとして著作権侵害で訴えられ、損害賠償金22万ドル(約2100万円)の支払いを命じられた被告の上告を棄却した。

 ミネソタ(Minnesota)州在住で4人の子の母親であるジェイミー・トーマスラセット(Jammie Thomas-Rasset)さんの裁判は2006年から争われてきた。デジタル著作権侵害をめぐる訴訟として注目されてきたが、最高裁は被告への賠償金支払いを命じた下級裁判所の判決を支持した。

 3回の裁判と複数回の上訴が繰り返され、一時はダウンロードした24曲の1曲につき8万ドル(約760万円)、計192万ドル(約1億8000万円)の支払いが命じられたこともあったが、3度目の裁判の後、賠償金額は22万ドルに減額された。

 2000年代半ば、全米レコード協会(Recording Industry Association of AmericaRIAA)や大手レコード会社は、違法なダウンロードやファイル共有をしたとして数千人の人々を訴えた。大半は3000~5000ドル(約28~48万円)の賠償金支払いで和解したが、トーマスラセットさんはかたくなに和解を拒んでいた。他に和解を拒否したのはボストンの学生ジョエル・テネンバウム(Joel Tenenbaum)さんだけで、テネンバウムさんには67万5000ドル(約6400万円)の損害賠償が命じられた。最高裁は昨年、同様に上告を棄却。賠償額が確定している。

 一方RIAA側は違法ダウンロード訴訟に関して08年、個人からインターネット・サービス・プロバイダーを相手取る方向へと転換する旨を明らかにした。これは03年以降約3万5000人が訴えられたきた音楽業界のデジタル著作権訴訟の戦略が大きく変わる呼び水となった。(c)AFP