【3月15日 AFP】「君と結婚できないなら、僕は司祭になる」と、かつて少年はプロポーズした。その2人はとうとう結婚せず、そして司祭になった少年は昨日、新ローマ法王に選出された――。

 この逸話は、アルゼンチン・ブエノスアイレス(Buenos Aires)に住む眼鏡をかけた白髪の女性、アマリアさんが、このほど中南米初のローマ法王に選出され法王フランシスコ1世(Francis)となったホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(Jorge Mario Bergoglio)枢機卿との間に60年以上前に起きた出来事として報道陣に打ち明けたものだ。

 現在も2人が生まれ育ったフローレス(Flores)地区に住むアマリアさんによると、当時アマリアさんとフランシスコ1世はまだ10~12歳ほどだった。アマリアさんがホルヘ少年からもらったラブレターには「君と結婚したときに買う家」として、白壁に赤い屋根の小さな家の絵が描かれていたという。

 ホルヘ少年の純真な思いは、しかし保守的な考えの持ち主だったアマリアさんの両親の知るところとなった。アマリアさんがラブレターを両親に見せたからだ。「親に隠し事はしたくなかったから。子どもなら普通のことでしょう」

 男の子からラブレターを受け取ったことで娘に悪い噂が立つのを恐れた両親は、ラブレターを破り捨て、以後は決してホルヘ少年をアマリアさんに近寄らせなかった。こうして2人の仲は親しくなる間もなく終わったのだという。(c)AFP