【3月12日 AFP】ロシアのボリショイ・バレエ団(Bolshoi Ballet)のセルゲイ・フィーリン(Sergei Filin)芸術監督が顔に酸性の液体をかけられた事件で、ボリショイ劇場(Bolshoi Theatre)は11日、首謀者として先週拘束されたソリストは「操り人形」にすぎず、事件の背後にはまだ黒幕がいるとの見解を示した。

 同バレエ団のソリスト、パーベル・ドミトリチェンコ(Pavel Dmitrichenko)容疑者(29)は7日、フィーリン氏に深刻な傷害を負わせた罪で起訴された。また、襲撃の実行犯とされる男と運転役とされる男が拘束されている。

 だがボリショイ劇場の広報担当者はインタファクス通信(Interfax)に対し「私たちはドミトリチェンコが首謀者であることに疑念をいだいている。ボリショイ劇場の指導部も同じ考えだ」と語った。また同劇場のアナトリー・イクサノフ(Anatoly Iksanov)総裁も10日、国営テレビのインタビューで、ドミトリチェンコ被告は「手先」にすぎないと主張。「誰かが彼にやらせたのだと、私もバレエ団全体も確信している。『操り人形師』が別におり、捜査当局はその人物を探し出さなければいけない」と述べた。

 モスクワ(Moscow)の警察は先週の発表で、事件の容疑者は全て拘束され、事件は解決したと宣言したが、11日には捜査は継続中であり、結論を早まるべきではないと注意を喚起している。(c)AFP/Anna MALPAS