【3月6日 AFP】350万年前のラクダは「北極の船」だった──?太古のカナダ北極圏を巨大なラクダが闊歩(かっぽ)していた証拠を発見したとするカナダの純古生物学チームの論文が、5日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 ヌナブット(Nunavut)準州のエルズミア島(Ellesmere Island)で樹木の化石と共に発見された動物の骨の断片化石を分析した結果、350万年前のラクダの脚の骨であることが分かったという。

 エルズミア島はグリーンランド北西沖の北緯80度付近に位置し、現在は植物が生えることのない不毛な土地。論文によれば、今回見つかったラクダはこれまで知られている中で最も北方に生息していたラクダという。

 このラクダは鮮新世(Pliocene)中期のカナダ北極圏に生息していたと考えられている。当時の地球の平均気温は現在より2~3度高く、この地域は森林に覆われていたという。

 化石が見つかった地域の当時の年間平均気温は氷点をわずかに下回る程度で、一日中太陽が昇らない時期が1年の半分を占めるにもかかわらず、カラマツの森林が広がっていたと考えられている。

 また今回の発見により、ラクダの種誕生の地はアフリカ北部のサハラ砂漠(Sahara Desert)やペルシア湾、アジアではなく、北米であるとする説が信ぴょう性を増したと論文は述べている。ラクダの祖先は当時陸続きだったベーリング海峡(Bering Strait)を渡って北米からアジア方面へ移住した可能性があるという。(c)AFP