【3月5日 AFP】マレーシアの陸軍と空軍は5日、ボルネオ(Borneo)島のサバ(Sabah)州に侵入し、同州の領有権を主張して農村に立てこもっているフィリピン人武装集団の掃討作戦を開始した。3週間前にわたる衝突で、これまでに27人が死亡している。

 この問題についてマレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相は鎮圧する以外に選択肢がないと表明。同国国営ベルナマ(Bernama)通信によると、F-18などの戦闘機がタンドゥオ(Tanduo)村を空爆した後、陸軍部隊が地上から襲撃したという。

 現地から20キロメートルほど離れた場所にいたマレーシアの記者は、5日未明、少なくとも2機の戦闘機が上空を通り過ぎ、その後大きな爆発音が聞こえたと話している。また、警察当局の発表によると、襲撃作戦の際に治安部隊に対する発砲があったが、けが人の有無については分かっていないという。

 サバ州に侵入した武装集団は、マニラ(Manila)を拠点とするイスラム指導者、ジャマルル・キラム3世(Jamalul Kiram III、74)が率いており、推定100~300人から成る。2月12日にボートでボルネオ島に上陸して以来、地元の農村に立てこもり、フィリピンのスルタン(君主)を名乗ってサバ州の領有権を主張している。事件は、マレーシアの手薄な治安体制と、フィリピン南部の無法地帯を拠点とするイスラム過激派の脅威をあらわにした。

 フィリピンのベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)大統領の報道官は、責任は侵入者側にあることを表明している。(c)AFP/M. Jegathesan