【3月5日 AFP】中国の国会に相当する第12期全国人民代表大会(全人代)が5日、北京(Beijing)の人民大公会堂(Great Hall of the People)で開幕し、中国全土から約3000人の代表が出席した。2週間弱の会期中に胡錦濤(Hu Jintao)国家主席と温家宝(Wen Jiabao)首相は退任し、それぞれの後任として習近平(Xi Jinping)総書記と李克強(Li Keqiang)副首相が選出される。

 温首相は冒頭に読み上げた政府活動報告で、2013年国内総生産(GDP)成長率の目標を7.5%に設定すると発表。世界経済回復のけん引役を期待される中国だが、欧州の債務危機や低調な米経済の影響をうけ、2012年の経済成長率は過去13年で最低の7.8%にとどまった。温首相も政府活動報告の中で7.5%の目標を達成するには「相当な努力が必要だ」と述べている。

 一方、インフレ率については、12年の実績2.6%に対し、13年の目標は3.5%に設定された。
 
 これとは別に発表された国家予算案によると、2013年の国防費は、アジアで領有権をめぐる緊張が高まるなかで軍備の近代化を続けるため前年比10.7%増の7202億元(約10兆8000億円)とされた。中国は近年、着実に国防費の増強を続けており、専門家らは実際の軍事関連支出は公式発表よりも多いとみている。

 予算案は全人代でこの後、協議されるが、全人代で可決される政策は、党幹部の間で事前に合意したものに限られている。

 全人代では、軽微犯罪の容疑者を裁判なしで強制労働につかせるための「労働再教育制度」に触れる可能性もある。同制度は、地方政府によって当局に批判的な住民を弾圧するために悪用されているとの批判を浴びている。

 また、政治アナリストらは、党幹部たちには市民の間で増大する不満の種となっている汚職や格差、公害などの問題への対処が求められており、怠れば市民らの不満が爆発する恐れがあると指摘する。これらの問題に関しては、全人代が閉幕する17日に行われる予定の記者会見で、李新首相が言及するとみられる。(c)AFP/Tom Hancock