【3月5日 AFP】インドのマラリア流行を監視する各保健機関は、遠く離れた南大西洋の海面温度を注視すべきだとの一見変わった主張を持つ研究論文が、3日の英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。熱帯地域に位置する南大西洋の海面温度は、雨期の降水量を左右する大きな要因となるため、マラリアの流行を予測する大きな指標ともなるという。

 米ミシガン大学(University of Michigan)のメルセデス・パスクアル(Mercedes Pascual)氏率いる研究チームは、インド北西部の砂漠地帯における雨期の降雨量分布図とマラリアの流行地域を、世界の海面温度を示した地図と比較した。

 すると驚くべきことに、南大西洋で7月に起きる海面温度の異常低下と、9~12月の局地的なマラリア流行の発生との間に、明らかな関連性が見られたという。

 今のところ、インドの乾燥地域や半乾燥地域で発生するマラリア流行は約1か月前にならないと予測することができない。これは、雨量の増加によって蚊の繁殖が促進され、マラリア感染の拡大が始まるまでに約1か月かかるためだ。

 だが論文によると、南大西洋の海面温度が有用な指標として認められれば、流行の4か月前の時点で警告が出せるようになるという。これにより、当局は薬や病院での治療体制の確保をより余裕を持って行うことができるほか、蚊の繁殖場所となるような水入りの容器を屋外から撤去するよう勧告することも可能になる。(c)AFP