【3月4日 AFP】ニューヨーク近代美術館(Museum of Modern ArtMoMA)で2日に始まった「Applied Design」展の一環として、「パックマン(Pac-Man)」(1980)など、いまや伝説的な存在となったビデオゲームの数々が展示されている。もしかしたら、MoMAに最も似つかわしくない展示といえるかもしれない。

 14本のビデオゲームは、現代デザインのトレンドに焦点を当てた「Applied Design」の一部として展示されている。会場となっているのは、MoMAの3階のエレガントなアーキテクチャー・アンド・デザインギャラリーだ。

 最も大きく取り上げられたのは「パックマン」と「テトリス(Tetris)」(1984年)。暗い室内の壁に小さなディスプレーで展示された両作品には、作品の歴史を解説するパネルが付き、パックマンにはオリジナルのソースコードを使った「distella map」というパネルも併設されている。

 隣室では1993年の「Myst(ミスト)」、「アウターワールド(Another World)」(1991年)、2000年の「シムピープル(The Sims)」が取り上げられていた。

 MoMAの高尚な雰囲気の中でビデオゲームへのノスタルジーを満たすのは異例かもしれない。しかしこの展示ではそれも可能となっている。MoMAはコントローラーとヘッドホンを用意しており、マルチプレーヤーゲーム以外は遊ぶことができる。

 他には「シムシティ2000(SimCity 2000)」(1994)、「ビブリボン(vib-ribbon)」(1999)、「塊魂(Katamari Damacy)」(2004)、「EVE Online」(2003)、「Dwarf Fortress」(2006)、「ポータル(Portal)」(2007)、「flOw」(2006)、「Passage」(2008)、「Canabalt」(2009)なども展示されている。

■「アートかどうかの議論には興味ない」MoMAキュレーター

 だがこれはアートなのだろうか──特に、MoMAのような一流の美術館に展示されるものなのであろうか。

 MoMAの建築・デザイン部門のシニアキュレーターのパオラ・アントネッリ(Paola Antonelli)氏はAFPの取材に対し、疑いなくアートだと語る。「全世界はゲームがアートの一形式だということをこれまでずっと信じてきました」

「率直なところ、私はビデオゲームや椅子がアートかどうかという議論には全く興味がありません。デザインというものは、人間の創造的表現の中で最高の形式の一つだと考えています。偉大なデザインを有するものならそれで十分すぎるほどなのです」(パオラ・アントネリ氏)

 最終的には40以上のゲームの収蔵を予定しているMOMA。「スーパーマリオブラザーズ(Super Mario Bros.)」(1985)や「ゼルダの伝説(The Legend of Zelda)」(1986)などが追加されるという。(c)AFP/Brigitte Dusseau