【2月28日 AFP】(一部更新)中国・北京(Beijing)の飲食店の店頭に「日本人、フィリピン人、ベトナム人、犬の入店お断り」との張り紙が掲示され、関係国のインターネット上で激しい怒りを巻き起こしている。張り紙は28日までに撤去されたが、店主は謝罪を拒否している。

 問題の張り紙を掲げたのは観光客に人気の紫禁城(Forbidden City)近くの飲食店。写真がSNS最大手フェイスブック(Facebook)に投稿されたことで騒ぎとなり、フィリピンとベトナムでは27日、新聞各紙やインターネット上のフォーラムで大きく取り上げられた。

 ベトナム国営紙トイチェ(Tuoi Tre)は「非難に値する中国の行き過ぎた国粋主義」と伝えた。この記事のインターネット版のコメント欄には、ある読者から「これは愛国心ではない、ばかげた過激思想だ」との意見が書き込まれた。

 一方、フィリピンの人々は、この掲示に怒りをおぼえる反面、楽しんでもいるようだ。あるジャーナリストがマイクロブログのツイッター(Twitter)に投稿した「北京の飲食店でのあからさまな人種差別」とのツイートが多数のユーザーに共有される一方、ニュースサイトのコメント欄には「どうでもいいよ、あいつらは何でも食うんだからさ。それこそ、胎児だって爪だって食っちまうんだ」との書き込みもみられた。

 ベトナムとフィリピンは南シナ海の領有権問題で中国と争っており、日本は尖閣諸島(Senkaku Islands)の領有権問題をめぐって中国との関係が緊張化している。

■「謝罪しない」と店主

 この張り紙の文言は、かつて英国の植民地時代の上海(Shanghai)の公園にあったとされる「中国人と犬お断り」の掲示を想起させる点で、扇動的と受け止められている。

 張り紙は28日までに撤去されたが、AFPの取材に応じた店主の王(Wang)さんはその理由を「騒動になり、電話が殺到して困ったから」と説明する一方、張り紙をしたことについては「全く後悔していない」と断言し、謝罪するつもりはないと語った。

 王さんはまた、張り紙の意図が誤解されているのではないかとも指摘。「たぶん、みなさんは(張り紙の)意味を誤解しているんでしょう。ただ、これらの国からのお客さんには食事を提供しませんと言っているだけです」と述べた。(c)AFP