【2月25日 AFP】アジア各都市で大気汚染の原因として問題視されている高濃度の微小粒子状物質(PM2.5)にさらされた人の間では、心臓発作で死亡する例が激増するとの研究結果が20日、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology)の医学誌「ヨーロピアン・ハート・ジャーナル(European Heart Journal)」に発表された。

 粒径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質、いわゆる「PM2.5」の大半は、石炭・石油を燃料とする火力発電所や、ガソリン車やディーゼル車の排気ガスから生じる。直径が人間の毛髪の太さの約30分の1と非常に細かいため、肺の奥にとどまりやすく、呼吸器疾患の原因と指摘されて久しいが、心臓への影響についてはよく分かっていない。

 英ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical MedicineLSHTM)のキャサリン・トン(Cathryn Tonne)氏率いるチームは、2004~07年にイングランドとウェールズで心臓発作を起こして病院へ搬送された患者15万4000人について調査。退院後3年以上にわたって追跡したところ、調査期間中に4万人近くが死亡していたという。

 社会経済的地位や喫煙歴といったPM2.5以外の要因を除外すると、PM2.5にさらされたことと早期の死亡との間に明確な関連性が現れた。トン氏によれば「1立方メートルの大気中のPM2.5の濃度が10マイクログラム増えるごとに、死亡率は20%上昇していた」。一方、もしPM2.5の濃度が自然の状態程度だったならば、調査期間中の死者数は4873人、つまり12%程度低かっただろうという。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)が定めているPM2.5濃度の環境基準目標は、24時間平均値が1立方メートル当たり25マイクログラム以下、年平均値が同10マイクログラム以下だ。

 中国の北京(Beijing)では1月、WHO基準のほぼ40倍に相当する1立方メートル当たり993マイクログラムのPM2.5濃度が観測された。欧州における血栓症の権威であるイタリア・ミラノ大学(University of Milan)のピエール・マヌッチ(Pier Manucci)教授は、「イタリアだったらPM2.5濃度が100マイクログラム前後でも懸念されるのに、北京では1000マイクログラムに届きそうな値なのだ。健康リスク・影響も桁違いだということが分かるだろう」と述べている。(c)AFP