【2月21日 AFP】オットセイが片側の脳だけ眠らせることを可能にする脳内化学物質を特定したとする研究論文が、米専門誌「神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)」に掲載された。

 研究を行った科学者らは、この「ユニークな生物学的現象」は、不眠症などの睡眠障害に苦しむ多くの人々の助けとなる発見だと述べている。北米では、睡眠障害に悩む人は全体の40%に上ると推定されている。

 論文の主執筆者、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)脳研究所(Brain Research Institute)のジェローム・シーゲル(Jerome Siegel)氏は今回の発見について、「人間がどのように眠り、なぜ眠るのかを解明する手がかりになる」と話している。

 論文を共同執筆したカナダ・トロント大学(University of Toronto)のジョン・ピーバー(John Peever)氏によると、オットセイは右脳を覚醒させたまま、左脳を眠らせることができる。同氏はこれを「生物学上の驚異」と説明している。オットセイは水中で眠るときにはこの方法で眠る一方、地上では人間と同じように眠るという。

 研究チームは、オットセイの睡眠中と覚醒中の脳内化学物質の違いを調べるため、脳表面の電気活動の測定に加え、大脳皮質にチューブを挿入して脳内化学物質の測定を行った。

 結果、睡眠中の脳のアセチルコリン量は少なかった一方、覚醒中の脳には多く確認されたため、このアセチルコリンが覚醒状態を誘発していることが示唆された。

 一方、アセチルコリンと同じく重要な脳内化学物質とされるセロトニンの量は双方の脳で同じだった。ピーバー氏によると、セロトニンは長い間、脳の覚醒を誘発する物質と考えられてきたため、これは驚くべき発見だという。(c)AFP