【2月19日 AFP】ベルギーの裁判所は18日、1995年から96年にかけて少女6人を誘拐・監禁して性的暴行を加え、このうち4人を死に至らしめて2004年に終身刑が言い渡されたマルク・デュトルー(Marc Dutroux)受刑者(56)の仮釈放申請を却下した。

 ベルギーで「最も嫌悪されている男」と呼ばれているデュトルー受刑者は今月、特別法廷で、自身を釈放して位置追跡電子装置を付けた状態で自宅監禁下に置くよう求めていた。

 これに対し裁判所は、デュトルー受刑者は再犯の恐れが高く社会復帰の見込みは全くないと断じ、釈放して電子装置による監視下に置く根拠がないとした。

■ベルギー中に怒り

 デュトルー受刑者が仮釈放を求めたことはベルギー全体を揺るがし、最悪の刑事事件の痛ましい記憶を思い起こさせた。デュトルー受刑者の妻であり共犯者であるミシェル・マルタン(Michelle Martin)元受刑者は昨年8月に釈放されてベルギー中部の修道院に移されたが、国民から大きな批判が沸き起こった。

 デュトルー受刑者は14歳の少女が行方不明になったのをきっかけに、96年8月に逮捕された。この少女は2日後、12歳の別の少女とともにデュトルー受刑者の自宅地下で無事見つかった。その後、8歳の少女2人の遺体がデュトルー受刑者が主に生活拠点としていた住居の庭に埋められているのが発見され、事件は身の毛もよだつ展開となった。それから約1か月後、さらに2人の少女がデュトルー受刑者が所有する別の地所で発見された。

 この事件をめぐり警察が複数の手掛かりを見逃していたことや、デュトルー受刑者はこの事件の前に少女5人を誘拐して性的暴行を加えた罪で禁固13年の判決を受けて服役したものの、わずか3年後の92年に仮釈放されていたことが明らかになったことで、国民のショックは怒りへと変わっていた。(c)AFP/Philippe Siuberski