【2月18日 AFP】フランス西部ナント(Nantes)で15日朝、幼い息子との面会を禁じられた父親(42)が造船所の巨大クレーンの上によじ登り、裁判所命令の撤回を求めた。この父親は、裁判所命令が解かれるまでクレーン上に居座ると宣言しており、「(息子の)ブノワには2年も父親がいない」と書かれた大きな横断幕を掲げたまま、17日になっても降りてくる気配を見せていない。

 高さ43メートルのクレーンに登ったのは、2006年に誕生した息子の親権を失ったセルジュ・シャルネ( Serge Charnay)さん。息子を誘拐しようとしたとして面接交渉権も失っている。親権をめぐる裁判所命令が「家族と自分の生活を崩壊させた」と訴え、撤回を要求しているシャルネさんは、クレーンの上から携帯電話のテキストメッセージで「はっきりとした進展がない限り、ここにとどまる」と宣言。3月28日に再審理が行われることが決まったことを伝えられた後も降りることを拒否しており、その後、携帯電話のバッテリーが充電切れを起こしてしまったとみられ、当局はシャルネさんとの対話再開の方法を模索しているという。

 一方、シャルネさんの友人でやはり2人の息子との面接交渉権を要求しているニコラ・モレノ(Nicolas Moreno)さんも16日、近くのクレーンに登って抗議したが、数時間後に降りた。また東部ストラスブール(Strasbourg)でも17日、シャルネさんらをまねたと思われる男がクレーンに登り、2時間にわたって抗議した。

 シャルネさんらの抗議は、父親の権利保護を訴える団体「SOSパパ(SOS Papa)」の承認を受けた抗議行動で、ジャンマルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)首相はクリスチャーヌ・トビラ(Christine Taubira)法相とドミニク・ベルティノッティ(Dominique Bertinotti)家庭問題相に対し、来週にも同団体との面会を命じた。(c)AFP